先週9日の欧州中銀(ECB)理事会後の会見で、ドラギ総裁は「一段の行動について、緊急性もはやない」と発言。デフレリスクが後退した事を理由にECBが追加緩和に動く可能性は大幅に低下したとの認識を示した。これに対して市場は、ECBが金融緩和の「出口」を探り始めたと受け止め、ユーロ買いで反応。

 翌10日の米2月雇用統計は、雇用者数が大幅に伸びたほか、失業率が低下するなど好結果であったが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが加速するほどの強さではないと受け止められて、ドル売りが優勢となった。

 ユーロ/ドル相場は、これらにより100日移動平均線を上抜けて上昇。本日は、約1ヶ月ぶりに1.07ドル台を一時回復しており、2月2日に付けた直近高値の1.08286ドルを視界に捉えた。

 このユーロ高・ドル安の流れを確かなものにできるか、本日行われるドラギECB総裁の講演に注目が集まっている。仮に「出口」に前向きな発言が飛び出せば1.08ドル前後までユーロ高が進む可能性があろう。ただ、総裁は元来緩和解除に慎重な「ハト派」と考えられており、9日の会見でも「好ましい状況となるまで方針維持」「インフレへの勝利宣言は尚早」などと述べている。一段の緩和の必要性が薄れたとはいえ、現在の大規模緩和を当面維持する方針を本日の講演で改めて示せば、ユーロ安に振れる公算が大きい。その場合、10日に上抜けた100日移動平均線(執筆時1.06615ドル)がサポートとして機能するのか注目しておきたい。

(執筆:外為どっとコム総合研究所 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)