日興アセットマネジメントが設定・運用する「スマート・ファイブ(毎月決算型)」がモーニングスター アワード ファンド オブ ザ イヤー2016の「バランス(安定)型部門」で最優秀ファンド賞を受賞した。受賞理由として「下落リスクを抑え、高リターン、過去3年間のシャープレシオは上位5%以内」という高い運用効率を示していることが評価されている。同ファンドの特徴について、日興アセットマネジメント資産運用サポート推進部長の高野誠氏(写真)に聞いた。

――ファンドの特徴は?

 最大の特徴は、大きな下落を避けるために、5つの資産クラスに分散投資し、かつ、「スマート・ファイブ戦略(リスク・パリティ戦略)」によるリスク管理を徹底していることだ。

 5つの資産とは、「日本国債」「高金利海外債券」「グローバル高配当株式」「グローバルREIT」「金」。「日本国債」を除くと、一つひとつの資産は世界景気の変動の影響を受けて、価格変動が大きくなる資産クラスといえるが、これらに分散投資することによって、各資産の値上がり・値下がりが相殺され、ファンドとしての価格変動は抑えられる。

 「金」を組み入れているのが、このファンドの大きな魅力のひとつ。「金」には、“有事の金”という言葉もあるほど安全資産としての性格があり、また、実物資産としてインフレに強く、そして、各国中央銀行が外貨準備の一環として金を保有するなど通貨としての側面も持っている。リーマン・ショックのような大きな変動時への備えになるので、中長期に投資するファンドとして考えていただけると思う。

 そして、市場環境に応じて、こまめに資産配分を変える投資戦略をとっている。この資産配分率の変更は、「予測をしない」ということがポイントだ。投資する5つの資産のリスク量の変化を過去のデータを用いて測定し、リスク量が均等になるように毎月、配分比率を見直している。リスクの寄与が等しいポートフォリオによって、各資産の価格変動に影響される度合いが過大になりすぎないようにしているのだ。リスク量に着目し、リスク量を均等に割り振るという「リスク・パリティ」は、近年になって現れた考え方だ。特に、年金運用などにおいて広まっている。

――リスク・パリティ戦略の効果は?

 「スマート・ファイブ(毎月決算型)」の設定来のパフォーマンス(2013年7月16日~2016年12月末)と各資産の値動きを比較してみると、その効果がよく分かる。金融市場に動揺が見られた時期には、収益期待が高い資産ほど下落が大きくなる傾向にある一方、当ファンドは資産配分効果が奏功し、下落幅は相対的に小幅にとどまった。

 同じ期間で最も値下がりした月のリターンで比較してみても、グローバルREITやグローバル高配当株式といった価格変動が大きい資産では、値下がりが共にマイナス8%となったが、当ファンドはマイナス3%にとどまった。このように当ファンドは、日本国債に次いで小さい値下がり幅におさえられており、リスク・パリティ戦略による損失抑制効果が表れたといえる。こうした実績は投資家の皆さまにとって安心感につながっていくと考えている。

――どのような投資家に持ってもらいたいファンドなのか?

 リスクを抑えて運用するというスマート・ファイブ戦略の特徴は、ご高齢の方から、資産形成を始める若い方にまで、幅広く持っていただけると思う。

 我々は金融資産の保有の形態を3つのカテゴリーに分けて考えている。生活資金等を一時的にプールする「預貯金」、お金を育てる「資産形成」、そして、短期で儲けを狙う「投機」だ。メインとなるのは、運用して資金を増やしていく「資産形成」のカテゴリーになる。そして、資産形成のカテゴリーは、さらに「コア」と「サテライト」に分かれる。コアは、資産形成の柱として中長期に保有してしっかり増やしていくという位置づけで、最も多くの資金を置いておきたい分野。サテライトは、コアに付け加える資産として、特定分野に集中したテーマ型投資や、市場の変動に合わせて投資先を積極的に変更させるなど、高いリターンの獲得をめざして運用する資金になる。

 「スマート・ファイブ」は、コア資産として、どんなお客さまにも長く持っていただける資産だと考える。日本の個人金融資産が預貯金に偏り、また、「資産形成」のカテゴリーで、サテライトの方が大きいといういびつなカタチをしていることは、よく指摘されるところだが、今後、日本でもコアとなる投資資産を増やしていく必要がある中で、「スマート・ファイブ」などのバランス型ファンドを育てていくことが大事だと考えている。

 「スマート・ファイブ」を取り扱うゆうちょ銀行、および、郵便局では、「スマート・ファイブ」を含む複数のバランス型ファンドを「コア・バランス」として特に力を入れて紹介する運動を展開している。このような動きが進むことは、増税やインフレなどに備えて資産形成の必要性が強調される日本で、大変望ましいことだと思う。

 また、下落リスクを抑えるというスマート・ファイブ戦略の特性は、NISA(少額投資非課税制度)にも相応しい商品性といえる。

 資産形成で成功するためには、市場に参加し続けることが重要だ。仮に運用の途中で30%を超える値下がりを経験しては、運用を継続する意志が挫けてしまいかねない。資産運用で失敗した人の多くは、大きな下落に耐え切れず、下落した局面で売却し、退場してしまったという経験をしている。世界の市場は、波のように価格の上げ下げがある。一時的に下落しても、運用を継続していれば、その後の戻りで評価損が小さくなるということは十分に考えられる。大きな下落リスクを避けて運用を続けながら、資産形成を考える方々の力強いツールとして、「スマート・ファイブ」をご活用いただきたい。