3月5日に開幕した中国の第12期全国人民代表大会(全人代)第5回全体会議において、17年のGDP成長目標は前年比6.5%前後と設定されるなど、重要な経済政策の枠組みが明らかになってきた。大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は3月6日に「『核心』となった習近平氏が経済も主導へ」と題したレポート(全5ページ)を発表し、習近平総書記が主導する経済政策の方針について展望した。レポートの要旨は以下の通り。

◆政府活動報告では、2017年の政府実質経済成長率目標は前年比6.5%前後と発表された。2012年~2014年の同7.5%前後、2015年の同7.0%前後、そして2016年の同6.5%~7.0%からはもう一段の引き下げであり、これで成長率目標の引き下げは3年連続となった。

◆2017年の政府活動報告は、2016年10月の中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議で、「党中央の核心」に位置付けられた習近平総書記の政策が色濃く反映されたことが大きな特徴である。同報告では、2017年の9つの重点活動任務を提示し、その筆頭には、習近平総書記が主導する「サプライサイドの構造改革」が掲げられた。

◆2016年の8つの重点活動任務との比較では、2017年は「改革」がキーワードとなり、2016年は筆頭だったマクロ経済の安定化が大項目からは抜け落ちたことが分かる。2016年の実質GDP成長率は1月~3月以降、3四半期連続で前年同期比6.7%を維持し、10月~12月は同6.8%と僅かに上向いた。景気が安定化するなか、改革を深化させる素地が整ってきたというところなのであろう。

◆とはいえ、経済の安定が軽視されるわけではない。積極的な財政政策は引き続き維持され、2017年の財政赤字は前年比2,000億元増の2兆3,800億元とし、GDP比は3%とされた。この他、地方政府が収益性のある公共事業のために発行する特別地方債は8,000億元と前年比で倍増し、地方の景気をサポートする。

◆金融政策の方針は、従来の「穏健」から「穏健中立」に変更することが、2016年12月の金融工作会議で決定済みであり、2017年のマネーサプライM2と社会融資総量残高の増加率はともに前年比12%前後と、2016年の同13%前後からは若干の引き下げとなった。「穏健」な金融政策とは若干の引き締めから若干の緩和までを含む幅広い概念であるが、「穏健中立」は、やや緩和気味に振れていた金融政策を本来的な意味の「中立」に戻すことを意味しており、今回の目標設定はこれに沿ったものである。企業債務の膨張抑制と、大きく上昇した住宅価格のソフトランディングが当面の焦点となろう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:(C)Inna Felker/123RF)