2016年は、ロボットの力を借りて世界に分散投資をする「ロボ・アドバイザー元年」といえる。大手金融機関で先駆けてみずほ銀行が「SMART FOLIO(スマートフォリオ)」のサービスを開始したのが2015年10月。16年には2月にお金のデザインの「THEO(テオ)」、7月にウェルスナビ社の「ウェルスナビ」、9月にマネックス証券の「マネラップ(MSV LIFE)」、11月には松井証券の「投信工房」、12月には三井住友信託銀行の「とうしの入口」など、金融機関各社が競うようにロボ・アドバイザーのサービスをスタートした。顧客ごとのリスク許容度に応じた商品提供・提案を行うロボ・アドバイザーのサービスは、金融庁が進めるフィデューシャリー・デューティ(受託者責任)の徹底に対する一定のソリューションともいえ、今後もサービスの拡大が期待される。
   
 「ロボ・アドバイザー」に共通しているのは、利用者に複数の質問を投げかけ、その回答内容によってリスク許容度を診断し、世界の各資産に分散投資された運用ポートフォリオを提案するというもの。国内に設定されたインデックスファンドやバランス型ファンド、または、海外ETFを活用するなど、サービスによって具体的に投資する商品は異なる。共通しているのは、提案されるポートフォリオは、様々な資産に分散投資され、価格変動率(リスク)が抑えられた運用を提供しようとする考え方だ。
  
 たとえば、みずほ銀行の「スマートフォリオ」が提案するポートフォリオは、サービス開始以来、過去1年4カ月(15年10月~16年12月)の運用実績が公表されているが、それによると、全9段階のリスク許容度の中で高リスク許容度(リスクレベル8)が112.3%(100万円の投資で約12万円の運用益獲得)、中リスク(同5)で108.7%、低リスク(同2)で104.8%という結果だった。この間に、高リスクのポートフォリオは、一時的に95%(100万円で5万円の損失)になることもあったが、低リスクのポートフォリオでは元本を下回ることのない運用になった。同じ期間に国内株式投資信託では、一時的に90%を割り込むほどに下落したことと比較すると、資産分散の効果が表れている。
  
■利用者の中心は30代の資産形成層、毎月積み立て利用も拡大
  
 実際の利用状況をヒアリングすると、みずほ銀行のスマートフォリオは、サービス開始から17年1月末までの体験者数は約43.2万人で、会員サービスの利用者は約1.5万人にのぼった。「スマートフォリオ」は毎月2.5万円の積み立て、また、一括購入は25万円から利用できるが、実際に「スマートフォリオ」を使っている人の投信購入金額の平均は80万円になるという。
  
 お金のデザインが提供する「THEO」は、1年間で約24万人が体験し、2万人超が申し込んだ。利用者の投資金額は、10万円が39%と最も多く、次いで、50万円以下が38%だった。利用者の89%が投資ほぼ未経験者で、利用者のうち20代、30代で過半数を占めた。若年層・投資未経験者・資産形成層に強く支持されている。また、81.4%のユーザーが6.0%以上の収益率を確保し、全利用者の82.7%がサービス内容に満足しているという結果になっている。10万円から始められる手軽さ、スマートフォンをベースにしたサービス提供などが、若い人たちの利用を促しているようだ。
  
 「ウェルスナビ」は、17年1月末からSBI証券の顧客向けに提供した「WealthNavi for SBI証券」が、サービス開始10営業日で3500口座になったと発表している。従来は最低投資単位が100万円だったサービスを、SBI証券向けには30万円にしたことも利用者増につながった。
  
 また、マネックス証券の「マネラップ」では、1万円から積み立てながら資産形成する「ためる」と取り崩しながら資産運用する「たのしむ」、両方を合わせた「そなえる」の3コースを用意しているが、30~40代を中心に「ためる」の利用が半数以上になっている。年明け以降は、総合口座開設と投資一任口座を同時に申し込むことが可能になったこともあって、マネックス証券に取引実績のない新規の申し込みが増えているという。
  
 松井証券の「投信工房」も、30、40代の口座開設が多く、20、30代の稼働率が高いなど「資産形成層」に広く利用されている。「投信工房」は、500円からの積み立てが可能で、毎月積み立ての他、毎週、毎日の積み立てもできる。特に、「毎日積立」が高く評価されている。来期以降に、取扱い銘柄の拡充を予定し、より一層の利用増につなげたいとしている。
  
■「まずは利用体験を!」、利用を促すキャンペーンも
  
 ロボ・アドバイザーを使ったサービスと一口にいっても、資産運用のサポートサービスとして手数料無料で提供している「スマートフォリオ」「投信工房」「とうしの入口」などと、投資一任サービスのラップ口座として運用資産額に対して年1%程度の手数料が必要になる「THEO」「ウェルスナビ」「マネラップ」などでは、サービスの性格が大きく異なる。提案されたポートフォリオを参考に「自己判断で運用する」のと、「運用を任せる」違いは大きい。
  
 ただ、各サービスともに、ロボットを使うことによって、提案するポートフォリオではリスク許容度や投資目的を意識し、かつ、投資リスクを抑えた分散投資ポートフォリオでの運用を手軽に始められるメリットを提供する点では変わりがない。そして、ロボ・アドバイザーへの認知度が低いものの、体験することによって利用するメリットへの理解が広がると考えている点も共通している。各社それぞれに体験者を増やすためのキャンペーンを企画している。
  
 みずほ銀行では、「SMART FOLIOで1万円プレゼントキャンペーン」を実施中だ。3月31日までにワンクリックオーダー機能を利用してみずほ積立投信を申し込んだ新規投信口座開設者は、抽選で5人に1人に1万円をプレゼントする。また、期間中の純増額(購入金額-解約金額)が5万円以上の場合は10人に1人、10万円以上の場合は5人に1人、20万円以上の場合は3人に1人、50万円以上は必ず1万円がもらえる。
  
 マネックス証券も3月16日まで、利用ステップに応じて最大5万200円をプレゼントするキャンペーンを実施している。期間中に「マネラップ」に口座開設でもれなく200円をプレゼント。そして、1万円以上購入すると、抽選で50名に1万円をプレゼント(1万円ごとに1口の抽選権)する。1000万円以上の購入で、もれなく5万円をプレゼントする。