クリーク・アンド・リバー社 <4763> は、クリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。17年2月期はゲーム・Web関連などが伸長して大幅増益予想である。株価は05年来の高値圏だ。中期成長力を評価して上値を試す展開が期待される。AI(人工知能)関連やVR(仮想現実)関連も注目点だ。
 
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
 
 日本のクリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業、およびプロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業を主力としている。また韓国のクリエイティブ分野、および医療・IT・法曹・会計などの分野におけるエージェンシー事業も展開し、事業領域拡大戦略を加速している。
 
 16年2月期セグメント別売上高構成比は、日本クリエイティブ分野61%、韓国クリエイティブ分野15%、医療分野12%、その他12%だった。
 
 日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価されて、TV番組制作受託事業が拡大している。
 
 なお韓国のクリエイティブ分野はクリーク・アンド・リバー韓国、医療分野はメディカル・プリンシプル、IT分野はリーディング・エッジ、法曹分野はC&Rリーガル・エージェンシー、会計分野はジャスネットコミュニケーションズ、ファッション分野はインター・ベル(13年12月子会社化)、広告分野はプロフェッショナルメディア(15年4月子会社化)の各連結子会社が事業展開している。
 
 また16年10月には、クリーク・アンド・リバー韓国の事業を会社分割(16年12月)し、新設会社でTVマーケットに特化したクリーク・アンド・リバー・エンタテインメントに承継させると発表した。そしてクリーク・アンド・リバー・エンタテインメントについては、現地資本による株式保有比率を高めることで持分法適用会社とする。クリーク・アンド・リバー韓国については、TVマーケット以外の専門分野への展開を目指すとしている。
 
■新規分野に積極展開して事業領域拡大戦略を加速
 
 新規事業分野として電子書籍取次事業、および作家、オンラインクリエイター、建築、ファッションクリエイター、シェフ、プロフェッサー分野などのエージェンシー事業、さらにAI(人工知能)関連やVR(仮想現実)関連へ展開し、M&Aも積極活用している。人件費などの費用が先行するが、順次収益化を見込んでいる。
 
 15年4月プロフェッショナルメディア(トータルブレーンが運営する人材紹介・派遣事業および広告業界特化型情報事業「広告転職.com」「クリエイティブ派遣.com」を新設分割して設立)を連結子会社化した。
 
 15年5月エコノミックインデックスを持分法適用関連会社化した。同社のデータ解析技術を活かして商品・サービスの販売促進、広告効果の検証、企業イメージの動向把握と維持向上、ブランド価値の定量化などを提供する。15年6月ベトナム最大のマルチチャンネルネットワーク(MCN)であるPOPSと業務提携した。
 
 15年10月オンラインクリエイター分野において、YouTuberと企業のマッチング・分析を行う新ソーシャルクリエイターマッチング・分析プラットフォーム「EUREKA(エウレカ)」をリリースした。また教授や準教授をはじめとする研究者に特化したエージェンシー事業の本格的始動を発表した。
 
 16年2月法曹分野の子会社C&Rリーガル・エージェンシー(CRLA社)が、世界中の弁護士のためのSNSプラットフォーム「JURISTERRA(ジュリステラ)」の開発を発表し、16年4月からβ版の運用を開始した。米国におけるサービス基盤拡充は16年3月設立した子会社CREEK & RIVER Global(米国)が行う。
 
 16年3月ゲームやアプリなどの優れたコンテンツを世界へ発信するプロジェクトを本格始動した。16年4月ソーシャルゲームインフォと連携して、スマホアプリ先行予約サービス「Social Game Info@先行予約」の提供を開始した。
 
 16年5月子会社メディカル・プリンシパル社(MP社)が、メンタルヘルスケアのEAP(従業員支援プログラム)事業者として国内最大規模のアドバンテッジリスクマネジメントと提携し、ストレスチェックにおける「医師面接」領域での提携関係を構築した。また大学や企業などの研究機関に所属する研究者のための情報サイト「Technologist’s magazine」をオープンした。
 
 16年8月にはハウステンボスと、映画配給会社ギャガの第三者割当増資を引き受けた。当社出資比率は15.0%となる。当社が企画・開発・制作するコンテンツを、アジアを中心とする海外へ発信していくことを目指している。
 
 16年12月グループ企業のエコノミックインデックスが、Twitterに掲載されたクチコミ情報をAIで解析して可視化する独自アプリケーションを、ソーシャルワイヤーが運営する広報支援・プレス配信サービス「@Press(アットプレス)」に提供開始した。クチコミ分析オプションとして利用できる。またエコノミックインデックスが、Twitterに掲載されたクチコミ情報をAIで解析して可視化するクラウドサービス「リアクション モニター」の提供を開始した。
 
 17年1月には、澪標アナリティクス株式会社代表取締役社長の井原渉氏と共同で、データ分析に関するコンサルティング業務とデータ分析業務を行う新会社MCRアナリティクスを設立した。
 
■VR(仮想現実)関連に進出
 
 16年8月、中国アイデアレンズ社および同社の筆頭株主である投資ファンドのパートナー王涵氏と共同で、VR・AR(仮想現実・拡張現実)における日本市場への進出のための新会社VR Japanを設立(当社出資比率51.0%)した。
 
 アイデアレンズ社のVRヘッドマウンドディスプレイ(HMD)新製品「IDEALENS K2」は、中国市場でのHMDの本命と言われ16年9月から中国で発売開始している。
 
■日本クリエイティブ分野は拡大基調、医療分野は期前半に利益偏重の特性
 
 四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期60億92百万円、第2四半期56億97百万円、第3四半期55億42百万円、第4四半期55億95百万円、営業利益が5億78百万円、3億50百万円、1億69百万円、1億99百万円、16年2月期は売上高が63億69百万円、65億03百万円、57億07百万円、63億30百万円、営業利益が4億58百万円、4億49百万円、1億03百万円、1億67百万円だった。
 
 医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重し、第3四半期と第4四半期は赤字となるため、全体として上期の構成比が高くなる収益構造だ。主力の日本のクリエイティブ分野は、売上・営業利益とも四半期ベースで拡大基調である。
 
 16年2月期は積極的な人材投資、大型自社開発ゲーム「戦国修羅SOUL」関連の販促費、プロフェッショナルメディア新規連結の影響などで減益だったが、売上面では主力の日本のクリエイティブ分野を中心に既存事業分野が好調に推移した。グループ全体での派遣稼働者数、紹介成約者数は過去最高水準を更新した。増収基調に変化はない。
 
 売上総利益は10.4%増加し、売上総利益率は32.1%で同0.5ポイント上昇した。ゲーム・Web分野中心に自社制作強化・利益率向上を目的として、制作スタジオを拡張して内制化を推進したことも寄与した。販管費は14.7%増加し、販管費比率は27.4%で同1.5ポイント上昇した。16年2月期末人員数は15年2月期末比125人増加の889人となった。
 
 営業外費用ではエコノミックインデックス社の持分法適用関連会社化に伴って持分法投資損失68百万円を計上した。ROEは13.2%で同3.8ポイント低下、自己資本比率は52.8%で同0.2ポイント上昇した。配当は前々期比1円増配の年間8円(期末一括)で配当性向は26.5%だった。
 
 セグメント別(連結調整前)に見ると、日本のクリエイティブ分野は売上高が同6.3%増の152億36百万円で営業利益が同10.6%減の7億18百万円、韓国のクリエイティブ分野は売上高が同16.6%増の38億20百万円で営業利益が同43.0%減の23百万円、医療分野は売上高が同6.5%増の29億08百万円で営業利益が同13.3%増の4億09百万円、その他事業(IT・法曹・会計他の事業)は売上高が同13.3%増の29億68百万円で営業利益が同71.5%減の24百万円だった。
 
 新規事業領域では、電子書籍取次事業はダウンロード数・売上高とも順調に増加して黒字定着した。オンラインクリエイター事業は動画再生回数が順調に増加して黒字化メドとなった。第1四半期にシェフ・エージェンシー事業、第2四半期にプロフェッサー・エージェンシー事業を立ち上げ、作家、建築、ファッション、シェフ、プロフェッサーの新規エージェンシー事業における先行投資負担の営業利益への影響額は合計で約2億10百万円(15年2月期は約1億50百万円)だった。
 
■17年2月期第3四半期累計は内製化率上昇も寄与して大幅増益
 
 今期(17年2月期)第3四半期累計(3~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の200億15百万円、営業利益が同33.6%増の13億49百万円、経常利益が同29.0%増の12億54百万円、純利益が同46.8%増の7億16百万円だった。
 
 日本のクリエイティブ分野が伸長し、内製化率上昇による売上総利益率改善も寄与して大幅増益だった。売上総利益は同15.8%増加し、売上総利益率は35.3%で同2.5ポイント上昇した。販管費は同12.2%増加し、販管費比率は28.5%で同1.1ポイント上昇した。営業外では持分法投資損益が悪化(前期は損失40百万円、今期は損失1億06百万円)した。
 
 なお利益押し下げ要因として、新規エージェンシー事業(ファッション、建築、シェフ、プロフェッサー)および新規サービス(JURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan)における先行投資負担の営業利益への影響額は2億01百万円(前年同期は1億32百万円)で、前期持分法適用関連会社化したエコノミックインデックス社の経常利益への影響額は97百万円(前年同期は37百万円)だった。
 
 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、日本のクリエイティブ分野は売上高が同10.7%増の126億52百万円で営業利益が同42.0%増の8億08百万円、韓国のクリエイティブ分野は売上高が同6.6%減の24億32百万円で営業利益が同28.6%減の11百万円、医療分野は売上高が同14.5%増の27億60百万円で営業利益が同14.6%増の4億83百万円、その他事業(IT・法曹・会計・他)は売上高が同1.5%増の21億68百万円、営業利益が同38倍の46百万円だった。
 
 日本のクリエイティブ分野では特にゲーム・Web関連が大幅伸長した。また内製比率が約40%に上昇して売上総利益率が改善し、新規エージェンシー事業や新規サービス関連の先行費用を吸収した。韓国のクリエイティブ分野では、円高・ウォン安の影響で減収となり、利益面では退職引当金および障害者雇用納付金負担の増加も影響した。医療分野は医師紹介事業が好調に推移している。その他事業では、IT分野がビジネスモデル転換で減収だったが、その他は概ね順調に推移した。
 
 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期65億39百万円、第2四半期67億38百万円、第3四半期67億38百万円、営業利益は4億54百万円、5億57百万円、3億38百万円だった。
 
■17年2月期通期も大幅増益予想
 
 今期(17年2月期)通期連結業績予想(4月7日公表)は売上高が前期(16年2月期)比6.4%増の265億円、営業利益が同35.9%増の16億円、経常利益が同38.9%増の15億50百万円、純利益が同27.7%増の8億円としている。配当予想は前期比1円増配の年間9円(期末一括)としている。予想配当性向は23.4%となる。
 
 売上面では日本のクリエイティブ分野を中心に既存事業分野が好調に推移する。利益面では引き続き積極的な人材投資で販管費が増加するが、内制化進展による売上総利益率改善や、新規事業分野の収益化(建築およびファッションクリエイター事業で収支均衡を計画)も寄与して大幅増益予想だ。
 
 セグメント別(連結調整前)の計画を見ると、日本のクリエイティブ分野の売上高が165億円で営業利益が10億円、韓国のクリエイティブ分野の売上高が35億円で営業利益が30百万円、医療分野の売上高が30億50百万円で営業利益が4億60百万円、その他の売上高が34億80百万円で営業利益が1億20百万円としている。
 
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.5%、営業利益が84.3%、経常利益が80.9%、純利益が89.5%である。医療分野の影響で上期の構成比が高い特性があること考慮しても順調な水準である。戦略的投資の効果や新規事業領域の収益化で増収増益基調が期待される。
 
■中期成長戦略で18年2月期営業利益30億円をイメージ
 
 中期成長戦略では既存事業で年率10~15%の成長を見込み、新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。事業領域拡大戦略を加速して、中期成長シナリオに変化はないだろう。
 
■株価は05年来の高値圏、中期成長力評価して上値試す
 
 株価の動きを見ると、14年10月893円を突破して2月13日の1156円まで上伸した。05年来の高値圏だ。
 
 2月17日の終値1098円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円50銭で算出)は28~29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間9円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS227円55銭で算出)は4.8倍近辺である。時価総額は約248億円である。
  
 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。中期成長力を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)