中国はボールペンの生産大国だ。年間で約400億本ものボールペンを製造しているが、ペン先のボールを生産することができず、輸入に頼っているのが現状だという。中国は製造業の高度化を掲げ、技術力とイノベーション力の向上を目指しているが、なぜボールペンのペン先のボールを生産できないのだろうか。

 中国メディアのeburnはこのほど、中国は世界的に見ても工業大国であることは間違いないと主張する一方、中国国内に存在する約3000ものボールペン生産工場ではボールペンのペン先を生産できずにいると指摘し、ボールペンという身近な存在であっても「核となる技術や製品については輸入に頼らざるをえないのが現実」と論じた。

 記事は、ボールペンのペン先にある球体の部品について、「インクをなめらかに出すための技術は特殊」であり、その技術は日本とスイスの両国が独占しているのが現状と主張。中国国内の一部企業はスイス企業の生産設備が導入しているとしながらも、同設備では原材料に対する要求水準も厳格で、中国国内で生産される原材料では「使い物にならない」と指摘した。

 続けて、ボールペンのペン先という極小の部品が映し出すのは「中国は製造強国ではない」という現実であるとし、鉄鋼をはじめ、「生産量」ベースでは世界の大半を占める中国だが、「価値のある技術や材料については生産できず、他国の制限下にあるのが現実」と論じた。

 経済を成長させるうえでは、イノベーションが必要不可欠であり、中国も製造業の高度化に向けてイノベーションを生み出す仕組みづくりを掲げている。ボールペンのペン先についても、中国国内で自ら生産できるようになるにはイノベーションが必要だ。だが記事は、中国では知的財産権の保護が不十分であり、模倣も多く、企業にとってはイノベーションに向けて多額のコストをかけて研究開発を行う動機が不足しているのが現状であることを指摘している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)