Q:もしも、トランプ氏が大統領になったら、アメリカ経済はどうなりますか?
A:トランプ氏は、アメリカにとって都合の悪いこと、マイナスの影響がありそうなことを、過激な発言で批判して支持を集めているように見受けられますが、それが実現された場合に、アメリカ経済にとってプラスかというと、そうとも言い切れません。

Q:たとえば、どんなことが考えられますか?
A:日本もそうですが、アメリカ企業も、中国などの新興国に工場をつくるなどして、製品を安く生産しています。トランプ氏はこのせいでアメリカの雇用が失われたと批判しており、対策として中国などで生産された製品の輸入には高額の関税を課すことを示唆しています。

Q:中国などからの輸入品に税金をふっかけて高くすれば、アメリカ人はアメリカ産の製品を買うようになり、アメリカ国内の産業が活発になり、失業者も減り、給料も上がるとの発想ですね。
A:そうです。ただ、アメリカ人もそのせいで、高い製品しか選べないのならば、生活が苦しくなりますし、そもそもアメリカ企業は、中国やメキシコなどで安く生産した製品を販売することで利益を上げてきた面がありますから、それができなくなることで業績が悪化するおそれもあります。

Q:トランプ氏の政策は、日本経済にどのような影響があるでしょうか?
A:具体的な発言として目立つのは、円安批判です。円安のおかげで、日本企業が利益を増やして、そのせいでアメリカが不利になっているといった内容のことを、「アメリカから略奪している」という強い口調で批判しています。

Q:その批判は当たっていますか?
A:日本はアベノミクスにより、円安に誘導して、日本の大手製造業を中心に業績が改善したのは確かです。アメリカは今まで円安(ドル高)を容認して、それで日本経済が復活し、その間に、日本が構造改革などを進めて、さらに世界経済をリードしてくれることを期待していました。

Q:思いっきり、期待外れですよね?
A:そうですね。安倍政権は、構造改革などにあまり手を付けていません。本当なら、円安で日本経済が浮上している間に、痛みをともなう改革をすすめて、円高でも経済が成長するような体質改善をすべきでした。が、目立った改革はありませんでした。結局、アメリカ側からすれば、ドル高(円安)でアメリカ経済が不利益を被ったという悪い印象だけが残り、トランプ氏だけでなく、他の候補者たちからもドル高(円安)に対する批判は続出しています。

Q:為替は円高になってしまうということですか?
A:日本経済が再び大不況になってしまうほどの超円高(ドル安)を、現在のアメリカ政府もトランプ氏も望んでいるわけではないでしょう。ただ、日本が金融政策や為替介入などを通じて、昨年までのような円安に誘導することは、日米関係を考えるとかなり難しいでしょう。

Q:日本株への影響はどうでしょうか?
A:トランプ氏が、日本からの輸入品にも高い関税をかけたり、為替が円安になることを阻止するのであれば、当然ながら、日本経済および日本株にもマイナスの影響が考えられます。結局のところ、少なくとも大統領選挙が終わるまでは、トランプ氏であれ、他の候補者であれ、アメリカの身を削って日本に好都合な政策を言うことは考えられませんので、いわゆる「大統領選挙ネタ」は、日本株にとって値下がり要因になることを覚悟しておいた方がよいと思います。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)