一時期は世界の生産量の9割以上を占めていた中国のレアアース業界が現在、苦境に立たされている。2010年9月に尖閣諸島(中国名:釣魚島)近海で起きた漁船衝突事件をきっかけに中国はレアアースの輸出規制を行ったが、これを契機にレアアース市場はめまぐるしい変化を遂げた。

 当時、レアアースの調達を中国に依存していた日本は、レアアースの輸出規制によって新規調達先を開拓したほか、レアアースを使わない技術の開発に取り組んだ。結果として、日本のレアアース調達における中国への依存度合いは低下し、中国のレアアース業界は価格の下落や生産能力の過剰といった問題に直面することになった。

 中国メディアの軍事新網はこのほど、「レアアースは軍隊ではない」と指摘したうえで、「レアアースを抗日に使うには当てにならない」と主張、レアアースを政治の道具に利用することの愚かさを説く記事を掲載した。

 記事はまず、中国のレアアース生産量が多いのは資源が豊富なためではなく、「中国が資源を採掘しているだけ」だと指摘。実際、レアアースは中国のみならず世界各地に存在するものの、中国は人件費が安いうえに環境破壊を顧みないため産出量が増えただけで、現在では過剰生産によって価格が下落していると伝えた。

 中国にとって、日本は最大のレアアース輸出相手国であるが、これを抗日の手段として用いるのは賢明なのだろうか?記事は、「日本は9割を中国からの輸入に依存していた」時があったものの、今では中国からの輸入は2000年以来となる50%以下になっていると指摘。

 さらに、日本にとって「レアアースの供給国は中国だけではない」と指摘。調達の多元化を進めてきた日本は、オーストリア、カザフスタン、インド、ベトナム等からのレアアース輸入を確保していると紹介し、代替手段や調達先がなければレアアースの輸出規制は抗日の手段として有効であったものの、日本がレアアース調達先の多元化やリサイクル技術の開発、さらには製品にレアアースそのものを使わない技術を開発したことで、レアアースによる抗日は功を奏さなかったと論じた。

 また記事は、レアアースの輸出制限は「中国が被害を受ける」と指摘。中国国内にはレアアースに関わる企業も多いうえに、中国国内では付加価値の高いレアアース製品を生産できないことを指摘し、「レアアースによる抗日」で日本への輸出を禁止をしても、日本に傷を負わせるのは無理だと論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)