投資信託市場でバランス型投信のニーズが高まっている。投信評価機関モーニングスターの集計によると、2015年11月末まで過去3年間でバランス型投信の純資産額は5割以上増加したという。そのバランス型投信の中でも、特に注目を集めているのが、専門家に投信の選択や投資比率の配分の決定などを任せるラップ型投信だ。野村アセットマネジメントが運用を行うラップ型投信である「のむラップ・ファンド」の運用状況や魅力などについて、野村證券投資顧問事業部長の立山浩二氏(写真:中央)と野村アセットマネジメント投資信託営業企画部長の青木雅代氏(写真:右)、そして、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏(写真:左)に聞いた。

 「のむラップ・ファンド」は、モーニングスターレーティングで「保守型」、「普通型」、「積極型」の3コースのいずれもが4ツ星以上と高く評価され、中でも「保守型」は5つ星の最高評価を受けている。2015年11月末時点ではモーニングスターカテゴリー「安定」(純資産額20億円以上)のファンドの中では唯一の5ツ星ということだ。

 同ファンドは、国内外の株式及び債券に加え、日本を含めた世界のREIT(不動産投資信託)という計5資産に分散投資を行うが、経済情勢や市況見通し等に応じて投資配分比率を定期的に見直すという運用をしている。国内外株式と世界REITへの投資比率が50%以下に制限されている「保守型」、同75%以下の「普通型」、制限のない「積極型」の3つのコースがある。

 モーニングスターの朝倉氏は、「資産運用の成否の約9割は投資配分比率で決まると言われています。当ファンドの投資比率配分の決定には、野村證券の専門家からの助言が活用されていますね」と、野村證券の投資助言が安定して高い運用成果につながっているとみている。

 実際に同ファンドの運用実績は、2015年9月末までの3カ月間で上海総合指数が29%の急落、日経平均株価も14%下落するなど、非常に厳しい運用環境だった中にあっても、「保守型」は同期間のトータルリターンが2.02%の下落にとどまり、カテゴリー平均を3.22%上回った他、「普通型」、「積極型」がいずれもカテゴリー平均を上回った。

 これに対し、野村證券投資顧問事業部の立山氏は、「野村證券は独自に開発したモデルを活用し、資産配分の見直しの助言を野村アセットマネジメントに提供しています。具体的には、毎月の見直しでは、中短期的にみて、相対的に大きく下落した資産については買い増す一方で、大きく上昇した資産については減らします。四半期ごとの見直しでは、各資産の期待リターン、リスク、価格連動性(相関係数)などについて評価を行い、投資配分を決めています」と助言の内容について解説した。

 そして、2015年夏の相場下落時の対応については、「7月末の時点で、中短期的にはそれまで大きく値上がりしてきた国内株式などを基本配分比率よりも少な目とするのが妥当との判断を行っていました。一方、長期的には金利の低下により期待されるリターンが低下する国内債券よりも、海外株式、海外債券、世界REITなどのリターンの改善を期待していました」(立山氏)と、相場の下落を先読みした結果がうまくいったわけではなく、全体のポートフォリオを調整することで、結果的にリスク回避ができたと語っている。

 実際に、中長期的なパフォーマンスも良好だ。「普通型」の暦年のトータルリターンをみると、2014年までは4年連続でモーニングスターカテゴリー「バランス」の平均を上回っている。また、リスク・リターンの関係でみても、「積極型」は海外REITや海外株式よりもリスクが低くとどまる一方で、リターンではいずれも上回るなど、効率的な運用ができている。

 また、同ファンドの月次の純資金流出入額は、3コース合計で2015年11月までで29カ月連続の流入超過となっており、同月末の純資産額は過去3年間で4倍以上に拡大しているなど、投資家からの人気も高い。

 ラップ型投信は、資産を分散投資するため、集中投資型のファンドと比較すると短期的な投資収益率は大きく出にくい。「のむラップ・ファンド」の過去の実績をみると、2015年11月末現在で「保守型」が過去1年の騰落率が0.9%、過去3年で36.0%。同様に、「普通型」が過去1年で2.1%、過去3年で65.5%、「積極型」が過去1年で2.2%、過去3年で79.7%になっている。

 ラップ型投信が人気化している背景には、長期化する「ゼロ金利」で、少しでも有利な運用を行いたいというニーズが根強いこと。また、ジワリと進んでいるインフレへの警戒感もある。野村アセットマネジメントの青木氏は、「日本は長くデフレが続いてきたこともあり、若い世代の中には『インフレ』といっても具体的なイメージがわかない方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、実際のモノやサービスの価格をみると、1970年に1杯95円だったコーヒーは2014年には414円、映画の観覧料は351円から1,800円に上昇しています」と、身近な事例を引き合いにだして具体的なインフレの影響を語った。

 2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)が900万口座を超え、国民的な資産運用口座として多くの支持を集めた。2016年には新たに「ジュニアNISA」(未成年者対象の少額投資非課税制度)も始まる。NISAでは、運用資産がマイナスのパフォーマンスになってしまうと、「投資非課税」のメリットが活きないため、下落に強い安定運用の運用商品が好まれている。ラップ型投信の需要拡大の背景のひとつといえるだろう。

 野村アセットマネジメントの青木氏は、「2015年6月末まで過去5年間でラップ口座の件数が約9倍、残高も約8倍になるなど、専門家に資産運用を任せるということが日本でも定着しつつあります」と、近年は傾向的に需要が拡大するラップ口座の人気について語った。

 「そもそも何に投資をすればいいのか分からないといった初心者の方から、投資に割く時間がない、自分にあった投資スタンスが分からないといった様々な方の悩みにお答えできるのがラップサービスです。『のむラップ・ファンド』は、2010年3月から運用を開始しており、これまで5年以上にわたり積み上げてきた実績も投資家の皆様に評価していただいていると自負しております」(青木氏)と、ラップ口座への需要が拡大する中、「のむラップ・ファンド」の運用実績が評価されて好調な販売に結びついているとみている。(編集担当:徳永浩)