内閣府によれば2015年7-9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となり、2四半期連続でマイナス成長となった。2四半期連続でのマイナス成長は欧米では「景気後退」と判断される。

 日本経済が成長どころか縮小していることが数字となって明確に示されたわけだが、中国メディアの新財富は「円安が日本経済を救うという信仰そのものに根本的な問題がある」として、現在の日本経済および経済対策の問題点を論じている。

 現在の「日本の円安信仰」が形作られた経緯について、記事は2000年代の小泉内閣時代に「金融緩和と円安」による景気対策が成功を収め、その結果として「金融緩和と円安が企業を元気づけ、国民の所得が増えて消費を回復させる」というアベノミクスにつながったと主張した。

 一方で、小泉内閣時代に「日本国民は景気回復の実感を得ることができなかった」と主張し、日本の経済学者のコメントを引用したうえで、金融緩和と円安による経済対策は輸出企業には有利に働くが、一般家庭の消費を回復するものにはならないと指摘した。また、小泉内閣時代の経済成長の根本的な理由は、中国の世界貿易機関加盟(WTO)や米国の経済成長など世界経済の構造変化にあったとして「金融緩和と円安」政策によるものではないと論じた。

 さらに記事は、日本が経済成長を実現するために必要なのは「円安信仰」を捨て、高齢化対策や少子化対策、構造改革など日本の潜在成長力を高めることであると指摘した。

 アベノミクスは大規模な金融緩和を行い、貨幣の価値を下げることで、物価が持続的に下落するというデフレからの脱却を目指したが、物価上昇率の目標はいまだに達成の見込みすら見えていない。旺盛な需要が存在すれば物価は自然と上昇するはずだが、円安によってもたらされる物価上昇はコストプッシュ型のインフレであり、さらに消費増税によって家計は消費を増やす意欲を削がれてしまっている。

 溺れる者は藁をもつかむというが、広大な陸地から大海にポツンと浮かぶ島国の日本を見て、中国メディアには日本が「金融緩和と円安」という藁をつかもうとしている姿が見えているのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)