日本経営管理教育協会が見る中国 第382回--下崎寛(日本経営管理教育協会会長)

● 日本の高齢者問題研究に来日

 私たち日本経営管理教育協会は、2015年10月9日(金)に中国北京健康城市建設促進会(北京市の外郭団体であり、健康都市研究団体)と北海道札幌市で介護施設の視察と日中国際シンポジウムを開催した。

 今回の来日目的は日本における介護政策と実態の視察であった。

 そこで、高齢化の対策が優れている札幌市役所とその施設運用をしている札幌市老人福祉センターを見学し、勉強してもらった。

 日本では「65歳以上」を高齢者としているが、中国では「60歳以上」とされており、日本のような介護保険制度はない。

● 中国の高齢者人口問題

 2010年の人口動態データを比較すると、日本では一番人口が多いのは60-64歳のところであるが、中国で一番人口が多いのは44歳前後である。人口動態の観点からすると中国と日本には共通点が多く、中国は日本より20年遅れで高齢化が進行しているようだ。平均年齢44歳だと「中年文化」の真っただ中におり、中年が消費をリードしている。最近の日本における中国人観光客の増加と瀑買いはそれが原因であると推察する。

 2013年、中国の高齢者人口は2億の大台を突破して総人口の15%を占めるまでとなっており、現在は現役世代(15─59歳)5人で1人の高齢者(60歳以上)を支える構図となっているが、2040年までには、現役世代2人で1人を支えるようになるとみられる。その結果、中国において既に急速な高齢化が進行しており、日本とは異なり、国民の平均的生活水準が低いにもかかわらず、20年という短期間で一気に高齢化社会へと向かうこととなっている。これは、「一人っ子政策」のような人口調整を続けたことで高齢化が加速し、豊かになる前に高齢化する「未富先老」現象が顕著になっている。

● 「421社会」

 一人っ子政策がもたらした中国の特殊な高齢化社会を、俗に「421社会」という。「4人の老人、2人の夫婦、1人の子ども」というのが典型的な家庭構造となっているのだ。

 また、中国の場合には、高齢者が就職するのが難しい。高齢者の就職状況について見ると、高齢化が進む一方で平均定年退職年齢が低く、都市部の高齢者の7割以上が退職・離職し、農村部に高齢者の介護をする若者がいないといわれている。

 介護不足の問題は深刻で、急速な高齢化が進む一方、核家族化や出稼ぎ等によって家庭内介護力が低下しており、さらには、社会保障制度もまだまだ整備されておらず、公的サービスの供給も追いついていないし、一人っ子政策の影響で、高齢者の面倒を見る人がいないという。

 そこで、先進国である日本の介護保険制度を手本にし、介護施設の充実と介護人材の育成が急務になっている。

  写真は北京の介護施設。(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会長 編集担当:水野陽子)