定年を迎えて無事、退職金を受け取った人は、そのお金をどう運用すれば良いのかで頭を悩ませるでしょう。

 指定した銀行口座に、1000万円、2000万円という大金が、ポンと振り込まれます。預金通帳には、これまで見たことがない「0」の羅列。これまで投資などしたことがないし、かといって預金では利息が付かない。う~ん・・・・・・。

 などと考えあぐんでいる時に、退職金の振り込みを指定した銀行から1本の電話が。

 「この度はご定年おめでとうございます。つきましては一度、支店長がご挨拶をと申しております」。

 指定された日に銀行へ出向くと応接室に通され、上等な玉露茶が出されます。そして支店長登場。

 「退職金の運用で何かお困りではありませんか。もし、よろしければ当行が責任を持って運用させていただきますが」。

 大事な老後資金だけに、運用で失敗し、元本を大きく減らしてしまうような事態には直面したくないもの。かといって、自分で運用する自信がない人は、ここでこう言ってしまいます。

 「よろしくお願いします」。

 一体、どんな商品で運用されるのでしょうか。最近、多くの銀行が退職金運用の受け皿として提案しているのが「退職金運用プラン」という商品。銀行によって呼び名は異なりますが、内容はほぼ同じです。

 具体的に、どのような中身かというと、たとえば運用資金が1000万円だとしたら、そのうち500万円を投資信託の購入資金に充てると共に、残りの500万円を「特別金利」が適用される定期預金に預けます。

 特別金利は銀行によっても異なりますが、某地方銀行が提示しているのは年率換算6%というもの。この超低金利時代に6%ですからね。コロリと騙される人が後を絶たないそうです。

 1年間を通じてずっと6%という高金利が適用されるなら納得できるのですが、この手のプランの落とし穴は、特別金利の適用期間が3カ月しかないこと。いくら年率換算6%といっても、適用期間が3ヶ月間では、年間を通じての適用利率は、実質1.5%程度に過ぎません。

 「それでも年1.5%なら、普通の定期預金よりもいいじゃないか」と思う人も多いでしょう。ですが、このプランのもうひとつの落とし穴は、投資信託がセットになっていることです。いくら年1.5%分の特別金利が付いたとしても、投資信託の購入手数料で2%も取られたら、特別金利分以上のコストが取られてしまうのです。

 こんな退職金運用プラン、絶対に利用してはいけません。

(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)