経営学の専門家で、日本企業の研究でも知られる王育〓氏はこのほど、日本を視察に訪れた際の伊藤忠商事会長・社長、駐中国日本国大使を務めた丹羽宇一郎氏との会話の様子を文章化した。日本企業の特徴として、第一線で働く従業員の「現場力」、さらに企業としての「志」の高さがあるなどで、両者は一致したという。王氏の文章は、経済金融情報サイトの全経網などで発表された。(〓は王へんに「昆」)

 王氏によると、中国人企業経営者の多くが、企業改革のため、あるいは「匠の精神」を学ぼうと、日本に足を運んでいる。王氏らは日本の「老舗企業」を視察するために訪日した。

 歓迎宴で丹羽氏は王氏に、日中両国の企業の違いを尋ねたという。王氏は「初心、または志が違います」、「日本企業の多くは創業時に、製品を通じて社会に奉仕することを志し、企業は公器と考えます。中国企業の多くは金を儲けて、生き残ることが必須条件と考えます」と答えた。

 丹羽氏は「志は最も貴重なものです」と同意した。そして、日本企業は信用を最大に重視しており、従業員も顧客も社会も裏切ってはならないと考えていると説明。

 さらに「従業員が企業の根本です。中国企業は日本企業から従業員教育を学ぶべきです。企業にとっては大きなコストです。効果が出るまでに十数年かかるかもしれません。でも必要なのです」と主張したという。

 王氏によると、その後の視察で日本企業側はいずれも、「全ての刷新は現場の従業員の努力により生み出されたものです」と述べたという。王氏は、従業員教育の重要性について「中国の企業家はまだ、広く認識していない」と述べた。

 王氏は続けて、松下幸之助氏の事例を紹介。人として、自らの自覚で成長していくことの大切さと、自分の周囲の人、古人、であった人、さらに草1本、木1本まで、出会う人をすべて「師」と思い、自ら学んでいくとの考えが、日本では定着しているとの考えを示した。

**********

◆解説◆
 中国人の間で、「日本人は極めて真面目に良心的に働く」との評価がある。日本を訪れる中国人が、たとえ自国内で日本ブランドの同等の商品が売られていても、日本で家電製品を購入する動機のひとつには「日本人が日本で作っているのだから、故障などのリスクが低いだろう」と考えていることがあるという。

 2月の春節(旧正月)時期に多くの中国人が日本を旅行して、家電製品や医薬品を買い求めたが、「日本で売られている日本企業の品でも、中国で作られている場合がある」と“警告”する報道も相次いだ。

 王氏の上記文章は、「日本人は真面目に働く」とのすでに確定した評価に加えて従業員教育の重要性にまで踏み込んで論じた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)