三井住友アセットマネジメントが設定・運用している「YOURMIRAI ワールド・リゾート」は、秋の臨時国会で議論される「IR(統合型リゾート)推進法案」にも絡んで注目が高まっている。同ファンドは、国内の公募投信の中で初めてカジノを含む統合型リゾートに着目して運用する「IRファンド」。2014年8月1日に設定し、運用を開始している。「YOURMIRAI ワールド・リゾート」の商品・マーケティングを企画した三井住友アセットマネジメントの投信営業第一部担当部長の宗正彰氏(写真)に、同ファンドの企画の狙い等を聞いた。

――「YOURMIRAI ワールド・リゾート」は、今秋に召集される臨時国会における目玉法案のひとつである「IR推進法案」に関連するファンドとして注目が高まっています。ファンドを企画した意図は?

 世界経済の回復等を背景に、統合型リゾート(IR)をはじめ、テーマパーク・ホテル、旅行者の移動や高額品の消費などリゾート関連に成長期待が高まっています。

 弊社の投信ブランド「YOURMIRAI(ユアミライ)」シリーズの第4弾になりますが、このシリーズは、個別には投資することが難しい投資テーマなどに、投資信託という枠組みを使って投資できるようにすることを目的としています。既存の3ファンドは、日米欧の代表的な株価指数に対して2.5倍の比率で連動することをめざすブル型のファンドですが、日米欧の主要先進国株で2.5倍のレバレッジを提供するファンドは、他にない特徴になっています。

 日本の公募投信の中で「IR(統合型リゾート)」を投資テーマにしたファンドが他になかったこと。また、日本の重要な成長戦略として訪日外国人旅行者数の拡大というテーマがあり、その流れの中で「IR推進法案」が議論されているという環境も踏まえ、「YOURMIRAI ワールド・リゾート」を設定することにしました。

――「IR(統合型リゾート)」とは?

 「IR(Integrated Resort)」は、カジノにホテルやコンベンション施設、エンターテインメント施設が併設された施設のことです。アジア地域ではシンガポールに2010年に開業した「マリーナベイ・サンズ」が有名です。シンガポールは観光振興を目的に2006年にカジノを合法化したのですが、マリーナベイ・サンズが開業した2010年には、シンガポールへの来訪者数が前年比20%増となり、2013年には来訪者数が2009年比60%増、観光収入は同80%増になりました。IRは、運営企業のみならず、地域のランドマークとして地域経済に大きな経済効果をもたらします。

 シンガポールには安倍首相も現地視察を行っていますが、国会で議論されている「IR推進法案」については、マリーナベイ・サンズのような大型IRを開設し、訪日外国人旅行者数の増加を促したいという狙いがあります。訪日外国人旅行者数は2013年に初めて1000万人を突破しましたが、東京オリンピックが開催される2020年に2000万人をめざして、様々な施策を講じる計画にあります。

 国会に提出された「IR推進法案」の内容を読み解くと、日本でカジノを含むIRの第1号は2020年の東京オリンピックに合わせて開業する可能性が高く、当初は2-3カ所で開業し、段階的に10カ所程度に拡大する見通しです。IRによる経済波及効果は最大で約7兆7000億円、誘発雇用人員は78万人という試算結果もでています。

――カジノに関しては様々な問題が指摘されていますが、それを投資テーマに置いて大丈夫なのでしょうか?

 カジノは、日本では単なるギャンブルとして捉える傾向もありますが、欧米などでは「大人のレジャー」として洗練された楽しみになっています。施設のセキュリティは厳しく、また、一定グレード以上のカジノではドレスコードも決められ、安全に楽しめる場所として多くの人たちを魅了しています。カジノに関わる過大な偏見や誤解も、このファンドのリターンの源泉になるかもしれません。

 また、IRに併設されるMICE(ミーティング<M>、インセンティブトラベル<I>、コンベンション<C>、エキシビション・イベント<E>の頭文字の略で、多くの集客が見込まれるビジネスイベント・国際会議等の総称)関連施設の利用も、近年では活発になっています。MICE(マイス)の経済効果は、米国GDPの約3%にあたるほどに大きな産業になってきており、特に近年はアジア地域での国際会議の開催が活発化していることから、日本でのMICE関連ビジネスの成長も期待されています。

――ファンドの運用では「テーマパーク・ホテル」や「旅行者の移動・消費の拡大」という点も投資テーマにしていますが、これらのテーマの関連性は?

 統合型リゾートの成長によって集客が伸びれば、IRが設置された地域のテーマパークやホテルの利用も増大することが期待されますし、それに伴う旅行者の移動は活発になります。近年のLCCの成長によって世界の海外旅行者数は拡大し、2010年の9.5億人が2020年には13.6億人になると予測されています。IR推進は、この旅行者数の拡大を促す効果があります。また、カジノを含むIRを利用される方々は、近隣のショッピングモールなども利用し、消費拡大等の恩恵が小売りなどの関連企業に波及します。

 「YOURMIRAI ワールド・リゾート」を一言で表せば「IR(統合型リゾート)ファンド」ですが、IRが地域や関連業界にもたらす経済効果全般をとらえて、信託財産の成長につなげる運用を行っていきます。

――販売会社は?

 8月末現在で楽天証券、SBI証券、エイチ・エス証券の取り扱いでしたが、9月19日にマネックス証券で取り扱いが始まりました。今後は対面販社での取り扱いも拡大する見通しです。

 販売手数料は申し込み金額に対して税抜き3.0%を上限とし、また、運用中にかかる信託報酬はファンドの純資産総額に対して年1.55%(税抜)です。分配は年1回です。

 ぜひ、このファンドを通じてカジノを含む統合型リゾート(IR)がもたらす経済成長への投資をご検討いただきたいと思います。

――ところで先日、御社は「オンラインマーケティング室」の新設や「直販」をスタートすると発表されましたが、今後の展望は?

 公募投信のオンライン販売会社向け対応および公募投信直接販売事業の立ち上げを推進する組織として、2014年10月1日付でオンラインマーケティング室を新設することになりました。数多くのお問い合わせを頂いていますが、実は、私が新たな組織の室長として弊社のオンラインマーケティングを担当します。

 これまでも、「マーケットレポート」を始めとする各種コンテンツの制作およびマルチユース、ラジオやテレビや雑誌などのマスメディアとインターネットのクロスメディアによる情報発信スキームの構築、業界初のオンライン販売会社との協働サイト「ユアミライ・ネット」の運営など、投資家とのアクセス機会を増やすことに努めてきました。公募投信の直接販売では、新たな販売チャネルを創設することにより投資家の投資機会拡大に貢献したいと考えています。今後は、拡大が続くオンラインチャネルを有効かつ効率的に活用することで、資産運用会社の社会的責任と公共的使命を果たして行きたいと思います。(取材・編集担当:徳永浩)