中国ビジネスヘッドライン二千万読者の皆様暑中お見舞い申し上げます。うだるような暑さの中、事務局から下記の内容のメールを受け取った。曰く、とある愛読者から「京都の出来事」が寄せられた、とのこと。その内容は以下の通りだ。

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先日所用で京都に行ったときのこと、乗るタクシー乗るタクシー全てで「中国人観光客批判」が展開されていました。「試食の商品を食べ尽くす」、「舞妓さんを取り囲んで狼藉をする」など。なかには簪(かんざし)を盗むような不逞の輩も居るとか。こういったことを25年前の日本人団体観光客が行っていたとは到底思えません。自分の友人の中国人は、そういう意味ではまともな人しかいませんが、前記のような中国人が多いのも事実です。

こういうことに対してどのように考え、また接点のある人はどのように対応すれば良いのでしょうか? 中国ビジネスの専門家の方々に助言いただきたくお願い申し上げます。

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 結論から申し上げて我輩「ドラゴンなら」はこのメールを新手の「都市伝説」または怪談ハナシと断定するものである。そして、単なる断罪でなく、このようなストーリーの発生する素地に対して語学屋として忸怩(じくじ)たる思いであることも後半で吐露させていただくことにして、本論を展開していくことにしよう。

 まず、事実関係を整理してみよう。

■ハナシの出所

 「とある読者」が京都で「タクシーのうんちゃん」から聞いた。恐縮ながら我輩ドラゴンならは、タクのうんちゃんとホステスの噂話にはあまり信憑性を置かない主義である。いったい誰が、どこで中国人の落花狼藉を目撃したのだろう? すくなくともこの話題を投げかけてきた愛読者氏に伺ってみたいものだ。

■試食を食べつくす

 とはいっても、「ありうる」ハナシは、この「試食のたべつくし」であろう。「ドラゴンなら」は食品メーカーの出身で、本人も日本や中国で試食コーナーで実演販売の経験がある。そこで東京築地で、今でも食品の仕事をする仲間に中国人のビヘイビアについて聞いてみた。

「そうねえ、2カ月ほど前あるデパートの催事会場で食材展示会があったときだけど、中国人の一団があがってきちゃって。あの人たち、会場に用意した休憩所に陣取って「場所取り」してほかの人たち座らせないの。試食も用意してたんだけどなんだかパクパク食べて」。

 このようにケチョンケチョンなのだが彼女続けて、「でもね、ツアーなんだから誰かツアコンいるのがフツーでしょ? これがいないのが問題よね。試食は食べてもらってナンボのものなんだから。勝負はそのあとよね。買ってもらえるようこちらの働きかけも、今思えば(セールスのプロとして)こちらの対応も情けなかったなあ。」

 証言は以上である。

 状況を補足説明してみよう。食品メーカーの立場で言えば試食を「召し上がっていただくこと」は「歓迎すべき」ことであり食べたお客様である中国人観光客が非難を受ける筋合いではないのである。

 試食を用意した側が試食をさせて商品を売るのが仕事である以上、「食い逃げされた」という事態は営業マンの未熟さを露呈していることにほかならぬ。たしかに中国人は日本人と異なるライフスタイルを持っておることは事実として受け止めよう。

 そのうえで「郷に入らば郷に従う」だ。さらに試食するならば「買い物もしなさいね」ということだ。事実上海でも、北京でも、試食するのは買うのが前提という常識は深く認知されていた。ちなみに中国のショッピングモールで「ドラゴンなら」が試食に入ったときは確実に完売モードであった。

 その理由はカンタン。語学ができるからであった。中国人には中国語。日本人には日本語、韓国人にはハングルと対応を変えていけば相手もヒトの子。「じゃ、1個買ってやるか」となるものなのだ。

 すでに来日観光客が今年上半期で629万を突破したとのこと。2020年には確実に2000万を突破するだろう。しかるにわが国の外国語対応、中でも中国語の実態は?

「はい、お客様。おそれいりますがこのスペースは共用となっております。お荷物はお方付けのほどを」

「お客様、試食のお味はいかがですか? ぜひお買い求めいただいてご家族にも召し上がってください」

 こんな要領で「攻めていく」語学対応が、日本に求められているのではないだろうか? 自分の言葉を話す人に親近感を抱く、つまり心を通わせたくなるのは万国共通の心理である。もし日本の人口の3%が中国語が話せれば???

「おい、みんな聞いたか? 迷惑だってよ。協力しやろうぜ」

 間違いなくこんな展開になったはずなのだ。そんな意味で語学屋として「まだまだ努力が足りない」ことに深い自責を感じる「ドラゴンなら」である。

■舞子が囲まれて狼藉を受けた

 むかし中国で「反日デモ」華やかなころ中国のネット上で「日本車に乗ったカップルが襲われて車は焼かれて男は半死半生、女は強姦されて犯人は杳(よう)として霧のかなたに」こんな書き込みがあふれていたものだ。

 もちろん「実態は不明」。どこでいつ発生したのか? 加害者はおろか被害者も特定できないのである。願わくは観光先進都市京都市民各位がかような幽霊話に惑わされず、しっかり中国観光客を「迎え撃って」売上3割アップを実現していただきたいものである。(執筆者:楢崎 宣夫 提供:中国ビジネスヘッドライン)