日本経済新聞社が主催し、M&Aキャピタルパートナーズが協賛した「経営者のための事業承継・M&A活用セミナー」が2014年6月10日、東京・秋葉原で開催され、用意された600席が満席となる盛況だった。同セミナーは、オリックスの会長・グループCEOの宮内義彦氏が「成長戦略と企業」をテーマに講演した。「社長の高齢化が進み、後継者不足でM&Aが増加している」(M&Aキャピタルパートナーズ代表取締役の中村悟氏)という現状を強く印象づけるセミナーになった。(写真は、セミナー風景)

 オリックスの宮内氏は、日本において「経営者が育っていない」という点について問題提起するとともに、後継者選びの難しさを自身の経験を踏まえて語っていた。

 M&Aキャピタルパートナーズの中村氏は、「社長の年齢が60歳以上の企業の比率は、1990年に29.8%だったものが、2000年には38%、2012年には51.8%と、今では過半数を占める。さらに、社長が60歳以上の企業において後継者がいないとしている企業も過半数。すなわち、全企業の25%程度は社長が60歳以上で後継者がいないという状況にある」と、日本の会社の実情について解説した。

 その上で、高齢な社長が事業承継対策を行うことなく他界してしまった事例を紹介し、「3人の息子に平等に持ち株が相続されたケースでは、事業を引き継いだ長男に対して二男と三男が結託して反旗を翻すお家騒動が持ち上がった。また、オーナーの娘が株式を承継したケースでは、事業について何も知らない娘が故オーナーの個人保証債務を引き継ぐなど思いがけない苦労を背負い込むことになった」など、実例を示して事業承継の難しさについて語った。

 そして、「事業承継に課題を感じている経営者の方は、企業オーナーや従業員、企業も買い手も関係者全員が幸せになる友好的M&Aについて検討していただきたい」と来場者に呼びかけた。現在、「買収によってシェアを伸ばしたい」、「第二の成長の柱がほしい」など、企業買収の買い手企業は数多いという。

 また、「M&Aで評価される株価は、税法上の株価よりも高く評価されることが多くオーナーには創業利益が得られるほか、個人保証が解除されるというメリットもある」と、M&Aによる事業譲渡による企業オーナーが受けるメリットについて解説。セミナーでは、2014年2月にM&Aによる事業譲渡を実行したクラカタ商事の名誉顧問である蔵方肇氏が「譲渡決断の経緯」について、自身の体験を語った。

 なお、今回のセミナーへの応募総数は1500名を超えた。また、セミナー後に用意された個別相談会は5社限定で申し込みを受け付けたところ、50社以上の応募があったという。M&Aへの関心の高さがうかがえる。(取材・編集担当:徳永浩)